こんにちは。行政書士の青柳夏苗です。
看板を設置するのに、許可が必要だと聞いたことはありませんか?
もしかすると、実際に看板を設置したお知り合いが許可を取っていないこともあるかと思います。
あるいは、許可を取ることは知っていても、なぜ必要なのかわからないという方もいるかも知れませんね。
看板の設置許可は、公衆の安全を守るため、とても大切です。
ひいては設置者の利益にもなります。
今回は、屋外広告物設置許可について、行政書士の青柳がわかりやすくお伝えいたします。
もくじ
屋外広告物設置許可とは
屋外に事務所やお店の看板をにつけるには、許可が必要です
街でよく見かける看板を「屋外広告物」と呼びます。
屋外広告物を設置するときは、その現場の自治体に申請し、許可を得なければなりません。
屋外広告物設置の規制として、「屋外広告物法」や「屋外広告物条例」等が定められています。
条例は自治体によって異なりますので、詳しい要件等については各自治体に確認する必要があります。
この記事内の情報は、長野県の屋外広告物条例に基づいています。
なぜ許可が必要?
突然ですが、自分のお店の大きな看板が突風にあおられて飛ばされ、通行人が怪我をしたとします。
これは一体誰の責任になると思いますか?
それに、突風なんて不可抗力だから仕方ないでしょ…
なんて思ってはいませんか?
実は、この場合
設置を頼んだ事業者の責任となる可能性があります。
近年全国的に、適切に管理されていない屋外広告物が見受けられます。
平成27年2月には札幌市で、建物に取り付けられた看板が落下し、歩行者を直撃する重大事故が発生しました。
この事故の影響を受けて、現在全国の屋外広告物条例が見直されているという経緯があります。
看板(屋外広告物)の管理に対して、管理者(事業者)の「落ち度」があると、損害賠償責任や、業務上過失致死傷等の刑事責任、また、営業停止等の行政処分の可能性が生じます。(民法717条)
簡単に言えば、この「落ち度」のひとつが
「許可が必要な看板(屋外広告物)に対して、きちんと屋外広告物設置許可を取っているか否か」ということになります。
屋外広告物は、規制がないと無秩序に乱立するおそれがあります。
すると、景観を損ねたり、管理の不行き届きで他人に危険が及ぶ可能性もあるのです。
ですから、許可が必要なのですね。
屋外広告物とは
屋外広告物とは「常時又は一定の期間継続して、屋外で公衆に表示されるもの」です。
簡単に言えば、よく見る街の看板です。
種類がたくさんありますので、下の画像をごらんください。
これには、営利目的のもの(商業広告といいます)だけではなく、事務所や会社名の表示、行事や集会の案内を公衆に宣伝するためのものも含まれます。
だから、広告物の内容は関係ないのです。
屋外広告物の例
市街地
「広告幕」「切文字」「袖看板」「屋上看板」「壁面利用看板」「広告塔」「アドバルーン」「バナー」「のぼり旗」
長野県 屋外広告物のしおり より引用
ガソリンスタンド
「独立壁利用」「パラペット利用」「壁面利用」「広告塔」
長野県 屋外広告物のしおり より引用
商店街
「のれん」「館名板」「立看板」
長野県 屋外広告物のしおり より引用
屋外広告物に該当しないもの
次のものは屋外広告物に該当しません。許可申請は不要です。
- 街頭で配布されるチラシなどの定着性のないもの
- 建築物、自動車の窓ガラス等の内側から貼られたもの
- 駅や工場内等で、その構内に入る特定の人を対象とするもの
- 単に光を発するもの(サーチライトなど)
- 音響広告
上記のものは他人に被害が及ぶ可能性が低いので、屋外広告物に該当しないのですね。
屋外広告物が設置できない場所【禁止物件】
広告物が設置されると景観を害するおそれがあると認められる、公共的な性格のものを「禁止物件」として、屋外広告物を設置することを禁止しています。
「信号機」「交通標識」「歩道柵」「街路樹」「カーブミラー」「パーキングチケット発給設備」「橋」「電柱」「街路灯柱」
長野県 屋外広告物のしおり より引用
この他にも
「道路上の駒止」「火災報知器」「消火栓」「公衆電話ボックス」等、禁止物件は様々です。
設置してはいけない屋外広告物【禁止広告物】
良好な景観や、公衆への危害の防止のため、設置してはいけない屋外広告物があります。
- 地色に彩度15以上の色を使用したもの(地色とは、広告物に使用されている色のうち、使用面積が最大のものをいいます。)
- 蛍光塗料または夜光塗料を使用したもの
- 倒壊または落下の恐れのあるもの
- ひどく汚れたり、色あせたり、塗料などがはがれたもの
- 破損しているもの、老朽のひどいもの
- 裏面が塗装されていないもの
屋外広告物条例は広告物の内容にまで立ち入り、規制するものではありません。
でも、過去の事実となってしまった内容(「◯◯行事を成功させよう」など)や、内容が実態と合わないもの(企業の看板なのに、その企業がすでに存在しないなど)は「適切な広告物」とは言えません。
屋外広告物を設置してはいけない地域【禁止地域】
屋外広告物を設置してはいけない地域があります。
(一定の適用除外となる広告物は設置することができます。)
- 土地計画法の規定により定められた
- 住居専用地域
- 風致地域(都市内外の自然美を維持保存するために創設された制度。建設物の建築や樹木の伐採などに一定の制限が加えられる地域)
- 高速自動車国道、一般国道、県・市町村道、鉄道から展望できる範囲のうち一定の地域
まとめ
今回は、
- 看板を設置するために許可が必要であること
- 許可は、公衆の安全を守るために大切であること
- どんなものが「屋外広告物」に該当するのか
ということをお伝えいたしました。
繰り返しますが、許可は街の人の命を守るためにとても大切です。
また今までとは違い、条例が厳しく改正されています。
許可を取っていない方はすぐに取るようにしてくださいね。
行政書士は、必要書類の収集から申請の代理まで全てお手伝いできます。
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行政書士へご相談いただいた方が良い可能性があります。
お気軽に青柳夏苗行政書士事務所へご相談ください。