こんにちは。行政書士の青柳夏苗です。
ものづくり補助金の加点・補助率アップ要件になっている
「経営革新計画」。
「経営革新計画ってなに?」
「どんな計画のことなの?」
「自分で申請しようと思ったけど、難しそう」
とお困りではありませんか?
今回は、あなたのそんな疑問、悩みに行政書士の青柳がわかりやすくお答えします。
もくじ
経営革新計画とは、「経営の向上」を図り、「新事業活動」に取り組む計画のこと。
経営革新計画は、中小企業が既存事業とは別に「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する中期的な経営計画です。
この計画を策定することで、自社の今の課題や目標が明確になります。
また、国や都道府県に計画が承認されると様々な支援策の対象となります。
※経営革新計画の承認は、融資等の各種支援策の利用を保証するものではありません。
計画承認とは別に、利用を希望する支援策の実施機関への申込み、審査が必要です。
※経営革新計画の承認は、申請書に記載されている商品やサービスを承認するものではありません。また、他企業及び一般個人に対して商取引を推薦するものではありません。
様々な支援策とは(長野県の場合)
「経営革新計画」は各都道府県が承認を行います。
承認された企業は、以下のような支援策が利用できます。
- ものづくり補助金での加点・補助率アップ
- 信用保険法の特例
- 融資制度
- 中小企業投資育成株式会社法の特例
- 特許関係料金減免制度
- 販路開拓コーディネート事業
支援策ごとに詳細な規定がありますので、詳細はそれぞれの申請先へお問い合わせください
ものづくり補助金審査の加点・補助率アップ
経営革新計画の承認企業は、ものづくり補助金の審査において加点・補助率アップ対象(補助率1/2から2/3へ)となります。
ただし、ものづくり補助金の応募申請時点で以下の状態でなければなりません。
①経営革新計画の承認を受けている
②経営革新計画の承認申請中
①の場合のものづくり補助金申請時における必要書類
- 経営革新計画に係る承認通知書の写し
- 経営革新計画に係る承認申請書(別表を含む)の写し
②の場合のものづくり補助金申請時における必要書類
- 申請済みの経営革新計画に係る承認申請書の写し
- 都道府県より取得した当該承認申請書が受付された日がわかる資料
さらに②の場合、ものづくり補助金が採択されたら、補助金交付申請時に
・経営革新計画にかかる承認通知書の写し
を提出する必要があります。
信用保険法の特例
(1)中小企業信用保険の普通保証等が別枠設定
- 普通保証:2億円以内の別枠
- 無担保保証:8千万円以内の別枠等
(2)新事業開拓保証の限度額引き上げ
融資制度
政府系金融機関による低利融資制度です。
利率、限度額、期間等の詳細は下記金融機関へお問い合わせください。
申請先:株式会社日本政策金融公庫の各支店
中小企業金融公庫及び国民生活金融公庫は株式会社日本政策金融公庫(外部サイト)
商工組合中央金庫は株式会社商工組合中央金庫(外部サイト)
※日本政策金融公庫では、経営革新計画承認企業向けの貸出メニューがあります。
また、信用保証協会の保証枠が通常の限度額とは別枠で利用可能となり、民間銀行からも借入がしやすくなります。
詳しくは申請先にお問い合わせください。
中小企業投資育成株式会社法の特例
投資対象企業が拡大されます。
通常、資本金3億円以下の企業が対象ですが、
承認経営革新計実施者は資本金3億円超の企業も対象となります。
特許関係料金減免制度
以下の特許関係料金について半額軽減されます。
(1)審査請求料
(2)特許料(第1年~第3年分)
申請先:関東経済産業局(外部サイト)及び特許庁(外部サイト)
販路開拓コーディネート事業
首都圏・近畿圏の市場をターゲットとした販路開拓を促進するため、中小企業基盤整備機構(関東支部・近畿支部)の販路開拓コーディネーターにより販路開拓活動を支援します。
申請の対象となる企業
●直近1年以上の経営実績があり、この期間に決算を行っていること(税務署に申告済みのこと)
※創業間もない企業やこれから創業する方は申請ができませんので注意してください。
経営革新計画の要件
既存の事業とは違う、新事業活動に取り組む計画であること
●新事業活動とは、4つに分類にされます。
計画する新規事業は以下の4つのいずれかに当てはまることが必要です。
「新事業活動」の4つの類型
- 新商品の開発又は生産
- 新役務(サービス)の開発又は提供
- 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
- 役務(サービス)の新たな提供の方式の導入、その他の新たな事業活動
注意点
- これまで行ってきた事業(既存事業)の範疇に含まれる商品、役務(サービス)の開発又は生産、提供は対象になりません。
- 同業の中小企業における技術・販売方式の導入状況から判断して、それぞれについて既に相当程度普及している場合は、対象外になります。
- 次のような場合は承認を受けられません。
- 公序良俗に反する、又はその恐れがあることが明らかな場合 li>
- 関係法令に違反する、又はその恐れがあることが明らかな場合 li>
- 計画の内容に確実性、実効性が認められない場合 li>
- 公的な支援を行うことが適当でないと認められる場合 li>
また、個々の中小企業者にとって新たなものであれば、既に他社において採用されている技術・方式を活用する場合でも承認の対象となります。ただし全国的に見て、同業の中小企業のほとんどに普及しているものは対象になりません。
もちろん業界的にも珍しく、革新的なものがより望ましいですね。
「経営の相当程度の向上」を達成できる計画であること
●計画期間に応じた目標伸び率を達成することが必要です。
<計画期間>
3年間、4年間、5年間のいずれかを選択することができます。
(計画期間は、直近の決算後、最初の営業年度から開始となります)
<数値目標>
経営革新計画の承認を受けるためには、計画終了時に一定の指標による経営目標を達成できる見込みが十分あるビジネスプランを立てることが必要です。
<計画終了時の経営指標の伸び率>
経営革新計画のそれぞれの期間(3年・4年・5年)に応じて達成すべき目標数値があるので、これをクリアする計画を策定する必要があります。
[経営指標とは]
①「付加価値額」又は
「一人当たりの付加価値額」
・付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
・一人当たりの付加価値額=付加価値額/従業員数
②「経常利益」
・経常利益=営業利益-営業外費用(支払利息・新株発行費等)
計画期間 | 「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」の伸び率 | 「経常利益」の伸び率 |
---|---|---|
3年計画 | 9%以上 | 3%以上 |
4年計画 | 12%以上 | 4%以上 |
5年計画 | 15%以上 | 5%以上 |
●計画が承認されるには、実現が見込まれるものでなくてはなりません。
自社の既存事業で培った技術の活用が見込める等の、具体的な補強材料があるとより承認の可能性が高まるでしょう。
申請に必要な書類(長野県)
承認申請には以下の書類の提出が必要になります。
●申請書
※申請書の様式は、長野県HPよりダウンロードできます。
●添付書類
・定款
・最近2期間の決算書類
申請・相談の窓口
地域振興局商工観光課が窓口です。
松本地域振興局(塩尻市、松本市、東筑摩郡、安曇野市)
0263-40-1933
もっと詳しく知りたい方はこちらの小冊子を見ていただけるとかなり詳しく説明されています。
中小企業庁がわかりやすく経営革新計画について解説している小冊子です。
まとめ
「経営革新計画」は日本政策金融公庫に専用のメニューがあったり、
他に様々な特例や、料金減免制度が適用されたりと
非常に活用しやすいものです。
また、ものづくり補助金の加点要素というのも見逃せないポイントですね。
事業への効果は決して小さいものではありません。
策定をお考えの方は挑戦してみることをおすすめいたします。
お困りのことがあれば、弊所へお気軽にご相談ください。
行政書士へご相談いただいた方が良い可能性があります。
お気軽に青柳夏苗行政書士事務所へご相談ください。